おすすめのLaTeXディストリビューション in 2021
久々の更新ですが今回はなんの脈略もなくおすすめのLaTeXディストリビューションについて… お話します.
LaTeXとは
LaTeXとは主に理工系の分野で使用されている[要出典]論文作成用のソフトウェアである. もともとはドナルド・クヌースなる人物が開発したTeXなるソフトウェアにマクロパッケージを組み込み 拡張したものである. 最近ではTeXファイルから直接PDFを作成することもできるが,昔はtexファイル→dviファイル→PDFという流れが 一般的だった. LaTeXが広くつかわれている理由として,執筆者によらず簡単にきれいで統一されたレイアウトで論文が作成できることや 学会誌では,主催者側が予め作ったテンプレートファイルを配布することで投稿される論文のレイアウトを統一できることなどが 挙げられる(最近はWordファイルのテンプレートも用意されていることが多い).
これが普通のソフトウェアなら良かったのだが,その配布形態や日本語対応のややこしい歴史により 様々な選択肢が増え,初心者を困らせる事になっている.
LaTeXディストリビューションの種類と違い
先程LaTeXには様々な選択肢があると述べたが,なぜそんなことになっているかというと, LaTeXは単体ではできることが少なく(LaTeXコマンド自体はtexファイルを読み込み処理をするコマンドにすぎない), 様々な拡張パッケージやフォントファイル,場合によってはTeXworksのようなエディタがあって初めて実用的な環境が整うためである.
もちろん頑張って必要なファイルやツールをダウンロードして解凍,環境変数の設定をすれば理論上はTeXの環境を手動で構築できそうだが 初心者にそこまでさせるのはあまりにも酷であるし,そうでなくとも一々そんなことをするのは大変しんどい. そのため,LaTeXと諸々のパッケージを同梱したディストリビューションが開発されている. 基本的にLaTeXディストリビューションは,公式サイトからインストーラーをダウンロードして実行するだけで パッケージのダウンロードからインストールまで全部よしなにしてくれる.
しかし,今度はLaTeXのディストリビューションが何種類も存在することでどれを選べばいいのかわからないというある種贅沢な悩みを 抱える学生が毎年発生することになる(はず).
今回はそんなLaTeXディストリビューションを色々使ってみた筆者の感想とおすすめを紹介したい.
今回取り上げるのは以下のディストリビューションである.
MacTeX? 知らない子ですね… 勿体ぶってもしょうがないしおすすめのディストリビューションから順に紹介していく.
TeX Live
TeX LiveはTeXディストリビューションの中では有名で世界的にも多く使われている. 必要なパッケージはだいたい全て含まれており,インストールするだけでLaTeX環境は 実質完成する.非常に便利で安定感もあり,文句なしのディストリビューションなのだが 日本では昔はあまり使われていなかった(と思う). 理由は単純で,TeX Liveに含まれる標準のLaTeXでは日本語が扱えず,アスキーが開発したpTeXや,パッケージを追加した pLaTeXが使われていたためである.また,インストール後のサイズが大きいのも敬遠された理由であるといえる(筆者の環境だと約7GB). しかし,2010年以降pLaTeXがTeX Liveにマージされ,またPC用のストレージ容量も進化したため,現状TeX Liveに弱点は無い(天下無敵). 特に理由がないのならTeX Liveの使用を強く推奨する. あと,TeX Liveに限った話ではないがTeXディストリビューションはインストールに時間がかかるので注意.くれぐれも課題の提出日直前に インストールなどしないように…しようね.
MiKTeX
MikTeXは正直なところTeX Liveと使用感はあまり変わらないが何故か世界的にはMiKTeXがトレンドらしい.
実際に使ってみて面白いと思ったのはTeX Liveよりもインストール時のサイズが小さいことである. もちろんサイズが小さいということはパッケージが少ないということなのだが,MikTeXはなんとtexファイルのコンパイル時に 足りないパッケージをインストールしてくれる.パッケージが必要になってからインストールするという思想がTex Liveとの大きな 違いである.ただし,注意点としてpTeX, pLaTeXが含まれないため,日本語の論文執筆には使えない.そのため,日本語での論文執筆はTeX Liveか W32TeXが必要になる.
W32TeX
W32TeXのインストール方法は2種類ある.一つ目は阿部 紀行さんが作ったTeXインストーラ 3 で2つ目は公式サイトのリポジトリ内の簡易インストーラー(texinstwin.zip)である.
しかし,あまり悪く言うつもりはないがTeX Liveの方が安定していると言える. 筆者も昔はインストールが簡単だったためW32TeXをよく使っていたが,海外の学会に論文を出すために texファイルをコンパイルしようとしたところ,テンプレートのスタイルファイルの読み込みでエラーを吐いてしまった. TeX Liveでは無事にコンパイルできたためパッケージが足りないか,何かしらの問題があったのだと言える. TeX Liveのインストールも最近はめちゃくちゃ簡単だし,W32TeXに含まれるものはTeX Liveにも全て含まれている(はず)なので 現在はTeX Liveが完全に上位互換みたいになってしまっている.
どうやって使うの?
LaTeXコマンドにtexファイルを食わせたらいいよ! なんて言っても初心者の方は発狂するだろうし,CUIってなんぞって人も多いと思います. 心配しなくても上の3つのLaTeXディストリビューションにはTeXWorksという総合開発環境が含まれています. 何も考えずにこれを開いてソースコードを書けばOK! ただし,日本語の文書を書くときはタイプセットがpLaTeXやupLaTeXになっているか確認しよう. あとなぜかTeXインストーラ 3で入れたW32TeXではTeXWorksがスタートメニューに登録されないので自分でショートカットを作ろう.
おまけ
お客様ぁ!TeXのインストールってぇ,容量もいるし,時間も掛かるし,めんどくさいし,大変ですよねぇ! ところがこの!Overleafがあると、まるで論文のような文書を、すばやく執筆することができるんです! さ,見ての通りのクラウドタイプ.同期しやすくって使いやすい!